警察を名乗る電話は詐欺?3つの事例と詐欺の特徴、対処法を紹介

警察官を名乗る電話がかかってきたら、詐欺の可能性があります。巧妙に作られた偽の警察手帳や警察署の番号を偽装した着信表示などを使い、本物と信じ込ませるケースもあるため注意が必要です。
詐欺から身を守るためにも、その手口を理解し、万が一電話がかかってきても冷静に対応できるようにしましょう。本記事では、警察を名乗る詐欺の具体的な事例を紹介し、どのような特徴があるのかを解説します。
目次
警察を名乗る電話は詐欺?
警察官を名乗る人物からの電話は、詐欺の可能性があります。たとえば、「警察手帳を見せる」「画像を送る」などの口実で、SNSやビデオ通話に誘導してくるという手口が報告されています。警察官がSNSやビデオ通話で連絡を取ることはないため、SNSやビデオ通話などに遷移を促されるようなケースは詐欺である可能性が高いです。
また、「あなたの口座が犯罪に利用されている」「資産を保護する必要がある」などと説明し、口座番号やクレジットカード番号を聞き出そうとしてくることもあります。しかし、警察が金融機関の情報を電話で確認することはありません。
警察を名乗る詐欺電話の具体的事例

どれだけ注意しても、実際に警察から電話がかかってきた場合は、冷静な判断ができなくなってしまう可能性もあるでしょう。冷静に判断するためには、あらかじめ事例を知っておくことが大切です。
ここでは警察を名乗る電話詐欺の具体的な事例を紹介します。
事例1.「犯罪から守る」という名目でお金を預かろうとする
警察官を名乗る人物から「詐欺犯の逮捕時にあなた名義の偽造通帳が見つかった」という内容で電話がかかってきました。犯人は「個人情報が漏れており、口座にお金を入れたままだと危険だ」と説明し、被害者に全額引き出すよう指示します。
そして被害者が金融機関で預金を引き出したあと、自宅に警察官や銀行職員を装った犯人が現れ、「安全のために預かる」と嘘をついて金銭を持ち去ります。犯人は警察の信頼を悪用し、あたかも被害を防ぐかのように装うのが特徴です。
事例2.事情聴取の名目で個人情報を搾取しようとする
ある日、スマホに非通知番号から着信があり、警察官を名乗る人物が「事件の容疑者として事情聴取するため、○○(地名)まで来るように」と告げました。突然の呼び出しに戸惑う被害者に対し、犯人は「詳細はメッセージングアプリにて伝える」と言い、メッセージングアプリに誘導します。
そしてメッセージングアプリ上では、被害者の信頼を得るために警察手帳の画像を送信します。その後、「本人確認のため」と称して、自動車運転免許証の画像を送るよう指示をします。このようにして住所や家族構成などの個人情報を聞き出し、悪用される可能性があります。
事例3.「偽造されている」と言ってキャッシュカードをだまし取ろうとする
警察官を名乗る人物から電話があり、「キャッシュカードが偽造されている可能性がある」と言われました。犯人は「安全確認のため、自宅を訪問する」と告げ、直接キャッシュカードを預かる口実を作ります。
自宅に現れた犯人は、被害者にキャッシュカードと暗証番号を書いたメモを封筒に入れさせ、「安全のために割印を押してください」と指示します。そして、被害者が印鑑を取りに行く間に、封筒の中身を偽物のカードにすり替えるのです。
そして、すり替えた封筒を返却し「この封筒は3日間開けないでください」と指示します。被害者が指示に従っている間に、犯人は本物のキャッシュカードを使い、口座から不正に預金を引き出すという手口です。
警察を名乗る詐欺の特徴

被害を防ぐには、詐欺の特徴を把握しておくことも大切です。ここでは、警察を名乗る詐欺の代表的な特徴を紹介します。
金銭の振り込みやキャッシュカードの確認を要求してくる
犯人は「あなたの口座が犯罪に利用されている」と伝え、被害者に不安を抱かせます。その後、「資産を保護するため」「捜査の一環として必要」などの理由を挙げ、指定した口座へ金銭を振り込むよう要求します。
また、「キャッシュカードの確認が必要」などと説明し、キャッシュカードと暗証番号を渡すよう求める手口もあるため注意が必要です。
このような要求を受けた場合は、すぐに警察署や金融機関の公式窓口に確認することが重要です。警察官を名乗ることでターゲットの信頼を得ようとしてきますが、警察が金銭の振り込みを指示したり、キャッシュカードを回収したりすることはありません。
ビデオ通話やSNSメッセージでのやりとりを促される
犯人はビデオ通話やSNSメッセージを利用し、警察官であるかのように装います。たとえば、ビデオ通話中に偽の警察手帳や逮捕状の画像を提示し、被害者を信じ込ませ、金銭を要求します。
警察がビデオ通話やSNSメッセージを使って金銭を要求することは絶対にありません。そのため、警察官からの電話でビデオ通話やSNSメッセージなどに誘導された場合は、警察署に直接問い合わせることをおすすめします。
偽の電話番号や国際電話番号を使用する
犯人は被害者を信用させるために、警察の電話番号を模倣した偽の番号を使用することがあります。特に末尾4桁が「0110」の電話番号を悪用するケースが多く、発信元が本物の警察署であるかのように装います。国内の警察署では末尾に「0110」の番号が使われることが多いため、被害者が疑わずに応じてしまうのです。
また、国際電話番号を使った詐欺も増えており、「+1」など海外の番号からの着信を利用する手口が確認されています。詳しくは次の記事を参考にしてください。
警察を名乗る詐欺に騙されないための対策法
詐欺から身を守るためには、不審な電話に対する基本的な対応方法を知っておくことが重要です。ここでは、警察を名乗る詐欺に騙されないための具体的な対策を紹介します。
かかってきた番号が実在するものか確認する
警察を名乗る人物からの電話がかかってきた場合、まずは冷静に対応することが大切です。まずは、相手が本物かどうかを確認しましょう。たとえば、相手が「〇〇警察署の△△です」と名乗った場合、一旦電話を切り、警察庁や各警察署の公式ホームページに掲載されている電話番号を自分で調べてかけ直すことで、本当の警察なのかどうかを確かめられます。
見覚えのない番号や非通知の着信には安易に出ず、どうしても気になる場合は留守番電話を利用し、相手の名前や用件を確認したうえで対応するのが安全です。
「所属、担当部署、氏名、内線番号」を確認する
警察官を名乗る人物から連絡があった際は、まず相手の「所属」「担当部署」「氏名」「内線番号」と用件を確認することが重要です。犯人は実在する警察署や警察官の名前を騙ることがあるため、情報を確認せずに指示に従うのは危険です。
これらの情報を聞き出した後、一度電話を切り、最寄りの警察署に連絡して事実確認を行いましょう。電話をかけ直す際は、着信履歴の番号ではなく、警察庁や警察署の公式サイトに掲載されている番号にかけることが大切です。
セキュリティ対策サービスを活用する
詐欺電話の被害を防ぐためには、セキュリティ対策サービスを活用するのも有効です。特に、迷惑電話対策機能が備わったサービスを利用すれば、詐欺に遭うリスクを低減できます。
たとえば、ドコモの「あんしんセキュリティ スタンダードプラン」の「迷惑電話対策」機能は、詐欺のリスクがある電話番号を自動的に検知し、警告を表示します。不審な電話番号であるとわかれば、たとえ相手が警察を名乗っても警戒心を強めることができるでしょう。
まとめ
警察を名乗る詐欺は年々巧妙化しており、電話やSNSを利用した手口が増えています。犯人は警察官の肩書きを悪用し、被害者の信頼を得た上で不安を抱かせ、金銭や個人情報を騙し取ろうとします。
詐欺に騙されないためには、不審な電話やメッセージに対して冷静に対応することが重要です。警察が金銭の振り込みを求めたり、キャッシュカードを預かったりすることはありません。少しでも怪しいと感じたら、すぐに電話を切り、警察署や関係機関に相談することが大切です。