海外から電話がかかってくるのはなぜ?不審な電話を見極める方法とは
海外から発信されている見覚えのない番号から突然着信があった場合、不安に思う人も多いのではないでしょうか。うっかり電話に出てしまうと、詐欺被害に遭うリスクがあるため、注意が必要です。
本記事では海外から電話がかかってくる理由や主な詐欺の事例、不審な電話への対処法について解説します。
目次
海外から電話がかかってくるのはなぜ?
友人や家族、仕事相手などが海外にいる場合は、連絡の手段の一つとして海外から電話がかかってくることもあるでしょう。しかし、全く見覚えのない番号からの着信は悪意のある第三者からの電話である可能性が高く、詐欺などの目的で電話をかけている場合があります。
近年は海外の番号を悪用した詐欺事件が増加しています。警視庁によると「特殊詐欺に利用された番号のうち、約54%が国際電話番号」という調査結果が出ています(2024年6月中)。具体的にどのような番号からの着信に注意すべきかについては後述しますが、基本的に知らない海外の番号からの着信は出ないことが賢明です。
引用:警察庁「外国からの電話の利用休止」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/international-phone/
国際電話が悪用されている詐欺事例
次に、国際電話を悪用した詐欺事例についてご紹介します。詐欺の被害に遭わないためには、あらかじめ手口を知っておくことが大切です。
国際ワン切り詐欺
国際ワン切り詐欺とは、1回の呼び出し音で電話を切る「ワン切り」を国際電話で行い、着信履歴を残すことで折り返しの電話を誘導する詐欺のことです。着信のあった国際電話に折り返してしまうと、高額な電話料金を請求されます。
具体的な手口は、以下のとおりです。
- 犯罪グループが国際電話を使い、被害者(ターゲット)にワン切りの電話をかける
- 被害者は着信に気づき、折り返す
- 被害者は、国際電話番号に折り返したことにより高額な電話料金を電話会社から請求され、支払う
- 日本の電話会社から海外の電話会社に対して国際電話の接続料が支払われる
- 海外の電話会社の関係者と犯罪グループがつながっており、接続料の一部がキックバック(報酬)として犯罪グループに支払われる
被害者に生じる国際電話料金は、通話時間が長引くほど高額になるのが特徴です。そのため、自動音声を使って通話時間を引き延ばそうとする手法もあります。
架空料金請求詐欺
架空料金請求詐欺は、犯罪グループが大手企業になりすまし、発生していない架空の料金を請求する詐欺のことです。近年では、海外の電話番号を取得して通話できるアプリが登場しており、架空料金請求詐欺だけでなく国際電話による詐欺はこのようなアプリを悪用していると考えられています。
架空料金請求詐欺の場合は、前述のアプリを悪用して国際電話をかけ、「サービスが利用できなくなる」「支払っていない料金がある」といった自動音声を流します。
被害者のスマホの画面には「+1」などの国際電話番号(詳細は次の章で解説します)が表示され、誤って出てしまうと上記のような自動音声が流れます。内容を信じ込み、実際には発生していない料金をATMへの振り込みやクレジットカードで支払ってしまうことで、金銭的な被害に遭う、というのが国際電話を悪用した架空料金請求詐欺の手口です。
参考:日本経済新聞「詐欺電話で国際番号急増、アプリ悪用か 警察庁注意喚起」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE028W20S3A001C2000000/
公的機関を名乗る詐欺
公的機関を名乗る詐欺は、国の行政機関の職員や大使館職員を装った自動音声ガイダンスが流れます。「あなた名義の書類がある」「担当者につなぐには△番をタップしてください」といった案内の後に、詐欺グループへ電話をつなげるのが主な手法です。電話口の犯人は、事務手数料を口実に金銭を要求したり、銀行口座番号などの個人情報を聞き出したりします。
詐欺の可能性のある国際電話番号
国際電話の番号は、先頭に「+」が表示されることが特徴です。「+」の後に表示される数字は国によって異なり、日本は「81」、アメリカ・カナダは「1」が該当します。つまり、スマホに「+1」と表示された場合には、アメリカ・カナダからの国際電話の着信であるといえます。
国際電話のすべてが詐欺目的というわけではありませんが、近年では、国際電話の悪用による詐欺電話の被害が多数報告されています。以下のような番号から電話がかかってきた場合、相手や企業などに心当たりがなければ不用意に出ないようにしましょう。
【悪用されている可能性のある国際番号の種類】
番号 | 該当の国 |
---|---|
+1 | アメリカ、カナダ |
+44 | イギリス |
+800、+844 | 国際フリーフォン(※) |
+81 | 日本 |
※国際フリーフォンは、電話を受けた側が料金を負担する着信課金式の電話番号
また、日本の国番号である「+81」からの電話の着信リスクについては、こちらの記事でも解説しているのでぜひご覧ください。
海外からの電話に出てしまった場合はどうすればよい?
海外からの不審な電話につい応答してしまった場合、なるべく発言せず、すぐに電話を切るようにしましょう。電話相手は「あなたの情報が漏洩している」「支払っていない料金がある」など、不安を煽る言葉で信じ込ませようとしますが、電話を長引かせる目的もあるので、不審だと気づいた時点ですぐに切るのが賢明です。
ただし、不審な電話だと気づかずに銀行口座やクレジットカードの番号を伝えてしまうケースも少なくありません。相手に金融機関の情報を伝えてしまった場合は、すぐにクレジットカードの履歴や銀行口座の出金・送金記録を確認してください。その後クレジットカード会社や銀行に状況を報告し、必要に応じてカードの利用停止や口座の凍結などの依頼を行いましょう。
海外からの不審な電話による被害に遭わないための対処方法
詐欺被害に遭わないためにも、不審な着信に警戒心を持つことが大切です。ここからは、被害に遭わないための対処法について詳しく解説します。
見覚えのない国際番号からの電話に出ない
基本的に、国際番号からの電話は出ないようにしましょう。前述のとおり、海外からの電話には「+」がついているため、海外から電話がかかってきそうな相手に覚えがなければ、基本的に国際番号からの電話には出ないようにすることが賢明です。
もし、海外からの電話相手に見覚えがないと言い切れない場合には、一度電話が切れてから、メールフォルダ内で番号を検索したり、Webサイトで該当する番号がないか調べたりするのがおすすめです。番号によっては、Webサイトの口コミで「迷惑電話」と明示されている場合もあります。調べた結果、自分とは何のつながりもない番号だと判明した場合は折り返さないようにしてください。
着信拒否設定や国際電話設定の解除を行う
特定の番号から繰り返し怪しい国際電話がかかってくる場合は、着信拒否を設定するのが有効です。また、国際電話の設定を解除する方法もあります。
以下では、それぞれの方法について詳しく解説します。
キャリア側での着信拒否設定を活用する
着信拒否をするなら、通信会社が提供する着信拒否サービスを活用するのがおすすめです。
ドコモでは、着信拒否をする番号を最大30件まで登録できる「迷惑電話ストップサービス」を提供しています。圏外からの着信や非通知の着信も遮断でき、怪しい番号からの着信によるリスクを軽減できます。
Android端末の場合
スマホ側で着信拒否を設定する方法もあります。Android端末とiOS端末で設定方法が異なるため、自身の端末に合わせて設定しましょう。
Android端末で着信拒否を設定する手順は、以下のとおりです。
- ホーム画面を表示し、通話アプリを選択する
- メニュー(︙)アイコンをタップ後、「設定」を選択
- 着信拒否に関連した項目を選択し、設定を行う
iPhone端末の場合
iOS端末で設定する手順は、以下のとおりです。
- ホーム画面を表示し、電話アプリを選択する
- 履歴・よく使う項目・留守番電話のいずれかを選択する
- 着信拒否を設定する番号の「i」マークを選択する
- 下部へスクロールしたら「発信者を着信拒否」をタップする
なお、ご利用の機種・メーカーによって設定方法は異なります。詳しい設定方法は、利用している機種の公式Webサイトをご確認ください。
キャリアが提供する国際電話の設定を解除する
国際電話の設定を解除し、国際電話への発信を行わないようにするのも対処法の一つです。ドコモでは「WORLD CALL」の解約手続きを行えば、スマホから国際電話への発信ができなくなります。
手続きの手順は、以下のとおりです。
- 「My docomo」にアクセス
- 「お手続き」をタップ
- 「海外」をタップ
- 「海外へかける(WORLD CALL)」をタップ
- 「解約」をタップ
セキュリティ対策サービスを活用する
セキュリティ対策サービスには、詐欺をはじめとした危険な番号から着信があった際に警告画面を表示する機能が搭載されています。
たとえばドコモの「あんしんセキュリティ スタンダードプラン」の「迷惑電話対策」機能の場合、危険性の高い番号からの発着信があった際、警告画面を表示してくれるため、電話に出ることなくリスクを抑えられます。
セキュリティ対策サービスを活用することで、通話を介して金銭をだまし取ろうとするなどの危険な行為や執拗に勧誘をするなどの迷惑な行為から身を守ることができるでしょう。
まとめ
見覚えのない海外の電話番号から着信があった場合、うっかり出てしまうこともあるでしょう。しかし、詐欺などのトラブルに巻き込まれないためにも、見覚えのない電話には基本的には出ないという姿勢を持つことが大切です。
もし、見覚えのない国際電話から何度もかかってくる場合には、着信拒否設定や国際電話設定の解除をするのも一つの手です。また、セキュリティ対策サービスを活用することで、電話に出ることなく、危険な電話かどうか判断できます。これらの対処方法を活用し、不審な電話によるリスクに備えましょう。