ロマンス詐欺とは?主な事例や具体的な見分け方、対策を紹介

SNSやマッチングアプリを利用するうえで注意したいのがロマンス詐欺です。従来の結婚詐欺や婚活詐欺と異なり、一度も対面することなくオンライン上のやり取りだけで恋愛感情を抱かせて、金銭を騙し取るのが特徴です。
警察庁によると、2024年1~11月の間に発生した被害件数は3,326件であり、前年より1,921件も増加しています。本記事では、ロマンス詐欺の概要や具体的な事例、手口の特徴、さらにそのリスクを軽減する方法について詳しく解説します。
目次
ロマンス詐欺とは
ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリを通じて知り合い、一度も対面することなく金銭を騙し取る詐欺のことです。
従来の結婚詐欺や婚活詐欺は、実際に会って関係を築いたうえで結婚をちらつかせ金銭を要求する手口でしたが、ロマンス詐欺はオンラインのみで被害者を信用させます。直接会うことはせずに、甘い言葉や魅力的な肩書で被害者を惹きつけ、親密な関係性を築いた頃に金銭を要求します。たとえば「困っているからお金を送ってほしい」と送金を催促したり、「二人の将来のために」と投資を持ちかけたりするのが常套手段です。
悪意ある人たちに対し恋愛感情を持ってしまうと冷静な判断ができなくなり、何度もお金を振り込むことで被害額が高額になるケースもあります。特に、40代以上の人が狙われやすいのもロマンス詐欺の特徴です。
ロマンス詐欺の主な事例
ロマンス詐欺の被害は増えており、他人事ではありません。自分の身を守るために、詐欺の典型的なパターンを知っておきましょう。以下に事例を2つ紹介します。
投資サイトやアプリへの入金・送金を要求
Aさん(40代男性)は、SNSを通じて知り合った女性と友達申請をきっかけに連絡を取り合うようになりました。やり取りを続ける中で、Aさんは次第にその女性に恋愛感情を抱くようになったのです。
ある日、女性から「2人の将来のために投資でお金を貯めよう」と提案されました。さらに、「必ず儲かる」と強く勧められたAさんは、女性の話を信じ、指示通りに投資用の専用アプリをインストールします。
その後、女性が指定する口座に約300万円を送金しました。しかし、送金後に女性との連絡が途絶え、投資話が詐欺だったことに気付くという事例がありました。
あらゆる名目で口座への振込を要求
Bさん(40代女性)は、SNSを通じて英国在住の韓国人と名乗る男性Cと知り合いました。2人はメッセージをやり取りする中で親密になり、実際に会ったことがないにもかかわらず結婚を約束したのです。
そんな中、CからSNSを通じて「仕事で必要な金を立て替えてくれないか。立て替えてくれないと契約違反で警察に捕まって刑務所に入ることになる」と助けを求めるメッセージが届きました。
BさんはCを信じ、指定された口座に複数回にわたってお金を振り込みました。しかし、振り込んだ後に連絡が途絶えてしまったのです。のちに、Cの情報がすべて虚偽であり、送金先も詐欺のために用意されたものであることが判明しました。
ロマンス詐欺手口の特徴
ロマンス詐欺でよく使われる手口を知っておきましょう。特徴を知っておくことで、詐欺を見抜き、被害を防げる可能性があります。
会ったことがないのにお金の話を持ちかけてくる
実際に会ったことがないのに、恋愛感情を抱かせるような言葉によってターゲットの信頼を得た後に、「絶対に儲かる方法がある」「あなただけが頼りだ」など、お金の話を持ちかけてくるのが典型的な特徴です。
悪意のある人たちは、海外在住者や外国人を装って接触してきます。また、顔写真も他人の画像を無断で使用していることが多いため、実際に会うことを避けようとする特徴があります。さらに「お金に困っていて会いにいく交通費が出せない」「病気で会いに行けない」と会えない理由をつけることで同情心や親切心を煽り、金銭を要求するケースもあります。
加えて、電話やビデオ通話で声や顔を確認できたとしても本人のものとは限りません。声色を変えるソフトや、別人の動画を利用している可能性があるためです。そのため、一度も会ったことがない相手から金銭の要求があった際には、たとえ信頼のおける相手だと感じていても、詐欺を疑うことが賢明です。

金融商品への投資を勧められる
投資を名目に詐欺被害に遭うケースが多いのもロマンス詐欺の特徴です。
警察庁のデータ※によると2024年1月~11月に発生したロマンス詐欺の被害額全体のうち、8割以上が投資名目にだまし取られていることがわかっています。
金融商品(投資の具体的な内容)は暗号資産(仮想通貨)やFX取引、株式などさまざまです。もし、直接会ったことのない相手と親密な関係になった際に、「あなただけに教える特別な情報がある」と投資を持ちかけられた場合は、ロマンス詐欺である可能性があります。
そのような場合は、投資前に家族や警察に相談するのが賢明です。金融商品を扱うサイトの運営者と悪意のある人たちが結託していたり、振り込んだお金が海外送金されたりするケースもあります。振り込んでしまったお金の回収は非常に困難であることを知っておきましょう。
出典:警察庁「令和6年11月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」

サイトやアプリに登録するよう誘導してくる
ロマンス詐欺では、ターゲットに架空の儲け話を信じ込ませるために、偽のサイトやアプリを使い、あたかも利益が出ているように思い込ませる手口が使われます。偽のサイトやアプリは、ターゲットに不信感を持たれないよう精巧に作られています。たとえば利益が出ているように見せかけた偽のグラフを表示させ、被害者に信じ込ませるなど、仕掛けは実に巧妙です。
また、入金したお金や利益分の出金には、さまざまな条件が課されるのも特徴の一つです。たとえば、運営者を名乗る人物から「出金するためには保証金を支払う必要がある」「手数料がかかる」と言われ、追加で入金することが求められるケースがあります。その場合、当初入金したお金に加え、追加入金分も含めて引き出せなくなる、といった被害が想定されます。
ロマンス詐欺のリスクを低減させる方法
ロマンス詐欺の被害に遭わないためには、日頃から対策を講じ、冷静な視点を忘れないことが重要です。以下に、具体的な対策法を紹介します。
セキュリティ対策サービスを活用する
手軽にできる対処法として、セキュリティ対策サービスの利用が考えられます。前述したように、悪意のある人が偽のサイトへの登録・入金などを促す手口が存在します。そのため、セキュリティ対策サービスに危険なサイトへのアクセスを防ぐ機能などが備わっていれば、ロマンス詐欺を含めた偽サイトを悪用した詐欺のリスクを減らすことができるでしょう。
例として、ドコモの「あんしんセキュリティ スタンダードプラン」には「危険サイト対策」機能が搭載されており、ロマンス詐欺などを含む偽サイトを悪用した詐欺対策としておすすめです。偽の投資サイトにアクセスしようとした際には警告を表示してくれるため、サイトにアクセスする前に不審なサイトであると気づくことができます。
金融庁から「免許・許可・登録」を受けているかを確認する
投資を勧められたり、アプリやサイトへの登録を促されたりした場合は、すぐ話に乗って登録するのではなく、一度サービスの安全性を確認する時間を取りましょう。金融サービスの場合は、業者名が金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」に掲載されているかを確認することで、安全な業者かどうか判断できます。金融商品を取扱う業者には、国への登録が義務付けられているため、金融庁のリストに掲載されていない場合は個人情報の入力・入金などを行わないようにしてください。
また、アプリやサイトの登録を促された場合は、Web上で運営者の情報や口コミを検索してみましょう。運営者の情報や連絡先が見当たらない、悪い口コミがあるなど、少しでも不審な点があれば利用を避けてください。
「今すぐ登録しないと間に合わない」「キャンペーン期間がもうすぐ終了する」などという言葉でサービスの利用や登録を急かすのは詐欺の常套手段です。このような言葉で対応を迫る場合は、詐欺を疑うのが賢明です。
不審に思った場合は警察や専用窓口に相談する
親密になった相手に投資サイトへの登録をすすめられた、個人情報を入力してしまったなどの場合、気づいたタイミングで警察や消費生活センターなどの専門窓口に相談しましょう。第三者に相談することで冷静な判断ができるようになり、詐欺の被害を防ぐ、あるいは被害を最小限に留めることも可能です。
具体的な相談先としては以下のような窓口が挙げられます。
【ロマンス詐欺について相談できる窓口】
相談窓口の名称 | 電話番号 | 特徴 |
---|---|---|
警察相談専用窓口 | #9110 | 最寄りの警察署の相談窓口につながる ※ダイヤル回線および一部のIP電話など、利用できない場合は都道府県警察の相談窓口へ直接相談する |
消費者ホットライン | 188 | 居住地を担当する消費者生活センターや国民生活センターにつながる ※IP電話からは利用できないため、居住地にある消費生活センターへ直接相談する |
未公開株通報専用窓口 (日本証券業協会) |
0120-344-999 | 投資詐欺の可能性がある場合に、社団法人日本証券業協会(JSDA)がアドバイスや他機関の紹介をしてくれる |
詐欺的な投資に関する相談ダイヤル | 0570-050588 ※IP電話からは 03-6206-6066 |
金融庁による金融サービス利用者相談室につながる |
まとめ
ロマンス詐欺は誰もが巻き込まれる可能性がある犯罪です。悪意のある人はターゲットに恋愛感情を抱かせ、ターゲットの心理につけ込み、さまざまな口実で金銭を騙し取ります。
直接会ったことのない人物からお金を要求された場合はすぐ対応せず、安全なサービスかどうか調べることが大切です。また、セキュリティ対策サービスの活用によって偽サイトにアクセスした際に気づくことができるため、個人情報の入力などを防ぐこともできます。
少しでも不審に思う点があれば警察や消費者生活センターなど、信頼できる機関に相談するようにしてください。