「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能とは?設定方法やメリット・デメリット紹介

インターネットを利用する際のブラウザには、「サイト越えトラッキングを防ぐ」という機能があります。「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能は、自由にONとOFFを切り替えられますが、どちらにもメリット・デメリットがある点に注意が必要です。
本記事では、サイト越えトラッキングを防ぐ機能の設定方法に加え、メリット・デメリットについて解説しています。ご自身にとってサイト越えトラッキングが必要かどうかを選ぶ判断基準として参考にしてください。
目次
トラッキングとは?
インターネットを利用する際、私たちの行動は様々な形で記録されています。この記録技術が「トラッキング」です。トラッキングとはユーザーが訪問したWebサイトや閲覧したページ、その後の移動先など、インターネット上の行動履歴を追跡し、分析する技術のことを指します。
収集したデータは、主に広告やマーケティングの最適化、ユーザー体験の向上に活用されていますが、同時にプライバシーへの懸念も引き起こしています。
「サイト越えトラッキング」の仕組み
「サイト越えトラッキング」とは、複数の異なるWebサイト間でユーザーの行動を追跡し、分析する技術のことです。この仕組みを支える代表的な技術の1つがCookieです。
Cookieは、Webブラウザに保存される小さなデータファイルで、ユーザーが訪れたWebサイトや入力した情報、利用環境などが記録されます。サイト越えトラッキングでは、この情報をもとにユーザーの行動を追跡することが可能になります。
サードパーティCookieを活用したトラッキングの仕組み
Cookieのなかでも、特に「サードパーティCookie」と呼ばれるものが、サイト越えトラッキングに利用されます。
サードパーティCookieは、ユーザーが訪問しているサイトとは異なるドメイン(たとえば広告や解析ツールを提供する会社のドメイン)から発行され、以下のような情報を記録します。
- Webサイトを訪れた日時や回数
- ユーザーが入力した認証情報
- 閲覧したページやアクセスしたリンク
たとえば、以下のようなケースがあります。
- ユーザーが「サイトA」に複数回アクセスすると、サードパーティCookieに行動データが保存されます。
- その後、ユーザーが「サイトB」にアクセスした際、「サイトA」と同じ広告ツールや解析ツールが利用されていると、過去の行動履歴をもとに同じユーザーとみなされます。
- この結果、サイトAの閲覧履歴にもとづいて、サイトBで関連する広告が表示される、という仕組みです。
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をON/OFFにすると?
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をONにすると、異なるサイト間での追跡がブロックされます。サードパーティCookieを利用した情報収集や共有も制限され、ユーザーの行動が複数のサイトにわたって追跡される心配がなくなり、プライバシー保護の強化につながります。
OFFにすると、サードパーティCookieによる追跡が行われるため、下図のようにサイトBでサイトAに関する商品の広告などが表示されます。
●「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をON(=有効)にしている場合

●「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をOFF(=無効)にしている場合

Cookieの基本的な仕組みや同意することのメリット、潜在的な危険性については、こちらの記事でも解説しているのでぜひご覧ください。
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能とは?
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能は、ユーザーの行動が複数のWebサイト間で追跡されることを防ぐためのプライバシー保護機能です。機能をONにすることで、広告や第三者のサービスに対し、ユーザーのインターネット利用履歴の追跡が制限されるため、ユーザーの趣味嗜好などが外部に収集されにくくなります。
代表的なブラウザのデフォルト設定は、下記のとおりです。
ブラウザ名 | デフォルト設定 |
---|---|
Safari(Apple) | 有効(ON) |
Chrome(Google) | 無効(OFF) ただし、Cookie管理やプライバシー設定で調整可能 |
Firefox(Mozilla) | 「Enhanced Tracking Protection(強化型トラッキング防止)」機能が有効(ON) |
※お使いのOSやブラウザのバージョンなどによりメニューの名称や設定が異なる場合もあります。
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をONにした場合のメリット
サイト越えトラッキングを防ぐことによるメリットは、プライバシーや個人情報の保護です。メリットの具体例について紹介します。
プライバシーを守れる
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能の機能をONにすることで、Webサイト間での閲覧履歴の収集が制限され、プライバシー保護に繋がります。自分の趣味や嗜好といったプライベートな情報が追跡されることを防ぎ、不安なくインターネットを利用できる環境が整います。
特に、ターゲティング広告を避けたい人にとっては、興味・関心に基づく広告が減るため、よりプライバシーを重視したインターネットの利用が可能です。
個人情報漏洩のリスクを低減できる
Cookieに保存された情報は、不正アクセスやシステムの脆弱性を通じて漏洩するリスクがあります。一般的に、Cookieにはクレジットカード情報のような高度に重要なデータは直接保存されません。しかし、ときに特定の個人を識別できる情報が含まれることがあります。
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をONにすることで、Cookieを利用した情報収集や共有が制限されるため、不正アクセスや情報漏洩のリスクを低減することが可能です。これにより、オンライン上での安全性が高まり、あんしんしてWebサービスを利用できます。
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をONにした場合のデメリット
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をONに設定することで、行動追跡や情報提供が行われなくなります。この場合のデメリットについて、解説します。
表示される広告の精度が下がる
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をONにすると、広告配信システムは、ユーザーの嗜好や行動履歴が把握できません。その結果、ユーザーの興味や関心に合わない広告が表示される可能性が高まり、広告の精度が低下することがあります。
広告を通じて思いがけない便利な商品やサービスに出会う機会が減る、自分と関係のない広告ばかりが表示されストレスを感じるといったことも想定されます。
一部のサイトが正常に表示されなくなる
サードパーティCookieをブロックすると、一部のWebサイトで正常な動作が損なわれる可能性があります。ページが正しく表示されない、ログインが必要なサービスが利用できない、特定の機能が制限されるなどの不具合が懸念されます。
ポイントが加算されなくなる
Webサイトの閲覧やほかのサイトへの移動によってポイントを貯める「ポイ活」サービスでは、多くの場合Cookieを利用しています。
機能をONにすることで、サービス提供者がユーザーの行動を追跡できなくなり、ポイントが正しく加算されないなどの不具合が発生する場合があります。ポイ活を実践しているユーザーにとっては注意が必要です。
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能の設定方法
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能は、使用しているデバイスやブラウザによって設定方法が異なります。以下では、Android(Google Chrome)およびiPhone(Safari)での設定手順を説明します。
Android(Google Chrome)の場合
- AndroidデバイスでGoogle Chrome を開く
- ブラウザ右上のアイコン「︙」をタップし[設定]を開く
- [プライバシーとセキュリティ]をタップする
- [「Do Not Track」リクエストを送信する]をタップする
- 設定のONとOFFを切り替える
[「Do Not Track」リクエストを送信する]の設定をONにすると、トラッキングを防ぐ機能が有効になります。
iPhone(Safari)の場合
ブラウザ上のトラッキング設定
- iPhoneの[設定アプリ]を開く
- [Safari]をタップする
- [サイト越えトラッキングを防ぐ]設定のONとOFFを切り替える

アプリ内のトラッキング設定
- iPhoneの[設定アプリ]を開く
- [プライバシー]をタップする
- [トラッキング]を選ぶ
- 下部に表示されるアプリ一覧から、各アプリごとのトラッキング許可を確認・変更する
※お使いのOSやブラウザのバージョンなどによりメニューの名称や設定が異なる場合もあります。
まとめ
「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能は、ONにすることでプライバシー侵害や情報漏洩のリスクを一定程度低減できる便利な設定です。一方で、OFFにすることで、広告のパーソナライズや特定サービスの利便性が得られるため、各ユーザーにより最適な選択肢は異なります。
ただ、たとえ「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能をONにしたとしても、リスクを最小限に抑えるための適切な対策が欠かせません。ドコモの「あんしんセキュリティ スタンダードプラン」の「ダークウェブモニタリング機能」は、あなたの個人情報がダークウェブ上に流出している可能性がある場合に検知し、通知してくれます。これにより万が一の情報漏洩の際でも、迅速な対応が可能です。
トラッキングの設定に関わらず、万全のセキュリティ対策を講じて、あんしんしてインターネットを利用できる環境を整えましょう。