スパムメールとは?危険な理由や被害を防ぐ対策を解説
メールボックスを開くと、見知らぬ送信元からの不審なメールが届いていた経験はないでしょうか。そのようなメールの多くは、スパムメールである可能性があります。スパムメールは単なる迷惑メールにとどまらず、個人情報の流出やウイルス感染といった深刻な被害をもたらす可能性があるため、安全にスマホを使うには適切な対策が必要です。
この記事では、スパムメールの危険性や被害を防ぐための対策、開いてしまったときの対処法を解説します。スパムメールにお困りの方、対策を検討している方は参考にしてください。
目次
スパムメールとは
スパムメールは、受信者の意思に関係なく、一方的に送られてくる迷惑メールの一種です。これらは大量に配信されることが多く、受信者にとって不要な内容がほとんどです。
日本では、スパムメールなどの迷惑メールに対して、法律による規制を設けています。具体的には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」や「特定商取引に関する法律」がこれにあたり、広告や宣伝目的のメール送信に関する規制が設けられているのです。
スパムメールが送られる理由
なぜスパムメールが送られてくるのでしょうか。主な原因としては、ユーザーのメールアドレスが悪意を持った送信者に流出していることが挙げられます。経路としては、メールアドレスを登録した無料サービスなどからの情報漏洩や、メールアドレスのデータ売買によるものなど、さまざまなケースがあります。
また、スパムメールの攻撃者がプログラムを使ってランダムにアドレスを生成し、大量に送信することもあります。
前提として、受信しただけでは被害につながらないケースがほとんどですが、ほかのメールアドレスと同じフォルダで管理していると誤って開封してしまったり、ファイルやアプリをダウンロードしてしまったりするケースもないとは言い切れません。
スパムメールの開封やURLへのアクセスがきっかけとなり、受信者が被害を受ける可能性があります。そのため、スパムメールの特徴を理解して、適切に対処することが重要です。
スパムメールが危険な理由
スパムメールが危険とされる理由は、受信者に深刻な被害をもたらす可能性があるためです。具体的には「ウイルス感染と情報漏洩のリスク」と「詐欺被害に遭うリスク」が挙げられます。
一つ目は、ウイルス感染とそれに伴う情報漏洩のリスクです。スパムメールに添付されているファイルを開いたり、本文中のリンクにアクセスしたりすることで、スマホやPCがマルウェア(悪意のあるソフトウェア)に感染する可能性があります。マルウェアに感染すれば、個人情報や機密データが外部に流出してしまうかもしれません。
二つ目は、詐欺被害に遭うリスクです。代表的な手口として、実際には存在しないサービスの利用料を請求する「架空請求詐欺」、偽のWebサイトに誘導してクレジットカード情報などを盗む「フィッシング詐欺」があります。
これらの詐欺被害に遭えば、金銭的な損失だけでなく、その後の対処などに時間や労力を使わなければなりません。そのため、あんしんしてスマホを使うには、スパムメールの危険性を認識して、適切な対策を講じることが大切です。
スパムメールを見分ける方法
スパムメールによる被害を避けるためには、スパムメールかどうか見分ける知識を備えておくことが大切です。以下で、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
送信元のメールアドレスを確認する
スパムメールを見分ける最初のステップは、送信元のメールアドレスを確認することです。心あたりのない差出人からのメールは、スパムメールの可能性を疑いましょう。
また、メールアドレスが大手ECサイトのアドレスに似せて作られている場合があります。たとえば、「example.com」を「examp1e.com」といったように、アルファベットを一文字だけ変えているなど、注意しなければ見逃してしまうような表記になっています。このような細かな違いを見逃さないよう、メールアドレスを注意深く確認することが重要です。
メール本文冒頭の宛先を確認する
メール本文の冒頭部分も、スパムメールを見分ける重要な手がかりとなります。正規のメールであれば、通常は「○○さま」と受信者の名前が記載されているのが一般的です。
一方、スパムメールの送信者は、メールアドレス以外の個人情報を持っていないことが多いため、特定の宛名が記載されていないことが多いでしょう。「お客さま」や「会員さま」といった一般的な呼びかけのみの場合は、スパムメールの疑いがあります。
メールの日本語が不自然ではないかを確認する
スパムメールのなかには、海外から送信されるものも少なくありません。そのため、日本語の使い方に違和感がある場合は、スパムメールの可能性を疑いましょう。
たとえば、文法の誤りや不自然な言い回し、機械翻訳を入れたような硬い表現などが見られることがあります。また、敬語の使い方が不適切であったり、日本の商習慣に合わない表現が含まれていたりすることもあるでしょう。
また、常用漢字以外の漢字表記や、文中の不自然なスペース・改行なども疑わしいポイントの一つです。
スパムメールの種類
スパムメールにはいくつかの種類が存在します。それぞれの特徴を理解することで、より効果的に対策を講じられます。ここでは、代表的なスパムメールの種類とその特徴を紹介します。
標的型メール
標的型メールは、特定の組織や個人を狙って送られる悪意のあるメールです。主な標的は金融機関や官公庁などの重要機関で、機密情報の窃取を目的としています。これらのメールは、受信者の信頼を得やすい形式を装っているため、見破るのが困難な場合が多くなります。
たとえば、上司や取引先を装ったメールが送られてくることもあります。注意すべき点は、社員一人がメール内のリンクにアクセスしただけで、組織全体のシステムがウイルスやマルウェアに感染する危険性があることです。そのため、組織全体での対策だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識の醸成も必要になります。
ウイルス型メール
ウイルス型メールは、受信者のデバイスにマルウェアを感染させることを目的としたメールです。メールの受信者が本文中のURLにアクセスしたり、添付ファイルを開いたりすることでマルウェアに感染します。
これらのメールでは、魅力的な件名や内容で受信者の興味を引き、アクセスさせようとしたりファイルをダウンロードさせようとしたりするため、注意が必要です。マルウェアに感染した場合、個人情報の窃取やデバイスの遠隔操作などの被害が発生する可能性があります。
特に注意が必要なのは、一見無害に見えるPDFファイルやOffice文書なども、マルウェアの媒介となり得ることです。送信元が不明なメールの添付ファイルは開かないよう心がけましょう。
フィッシングメール
フィッシングメールは、受信者の個人情報を騙し取ることを目的としたメールです。主にユーザーID、パスワード、クレジットカード情報などを盗み取ろうとします。
これらのメールは、金融機関やクレジットカード会社などの正規の企業を装い、緊急性を強調して受信者を焦らせる手法が多いです。たとえば、「アカウントが停止されました」「セキュリティ上の問題が発生しました」といった文面で、偽のWebサイトへの誘導を図ります。
そのサイトで情報を入力してしまうと、個人情報が犯罪者の手にわたる危険性があります。そのため、メールに記載されたリンクにはアクセスしないようにしましょう。
広告宣伝メール
広告宣伝メールは、製品やサービスの宣伝を目的として送られるスパムメールの一種です。なかには、巧妙な手法を用いて受信者の興味を引こうとするものもあります。知人を装って「このサイトが面白いよ」といった文面でリンクを送り、アクセスを誘導する手法などが考えられます。
このようなメールは、一見無害に見えても、リンク先が不適切なサイトであったり、マルウェアの感染源であったりする可能性があります。そのため、たとえ知人からのメールのように見えても、不審なリンクには注意が必要です。
広告宣伝メールに騙されないためには、定期的に受信メールの設定を見直して、不要な広告メールはブロックするなどの対策を行いましょう。
架空請求メール
架空請求メールは、受信者に身に覚えのない請求を突然送り、金銭を騙し取ることを目的としたスパムメールです。これらのメールは、受信者の不安感や焦りを煽る文面を用いることが多い傾向にあります。「未払いの料金がある」「支払いがないと法的措置を取る」といった脅迫めいた表現で煽り、早急な支払いを要求します。
正規の請求であれば、事前に利用の通知や、契約の確認が行われるのが一般的です。突然の請求メールが届いた場合は、記載されている連絡先ではなく、まずは公的機関や消費者センターに相談するのがおすすめです。また、メールに直接返信したり、記載されている連絡先に問い合わせたりすると、さらなる被害に遭う可能性があるため避けるようにしましょう。
実際にスパムメールが届いた場合は?
スパムメールが届いた場合の対処法を知っておくことも重要です。被害を防ぐためには、以下で解説するポイントに注意して対応しましょう。
メールは開かずに削除する
スパムメールへの対処の基本は、怪しいメールを開かずに即座に削除することです。これらのメールは、個人情報の窃取やデバイスへのウイルス感染を目的としているため、開封自体が感染のリスクとなる場合があります。
また、メールソフトの設定で、画像の自動ダウンロードを無効にすることも有効な対策となるでしょう。こうした予防策を講じることで、スパムメールによる被害のリスクを軽減できます。
リンクやファイルは開かない
スパムメールを誤って開いてしまった場合でも、本文中のリンクにアクセスしたり、添付ファイルを開いたりすることは避けましょう。これらは、フィッシングサイトへの誘導や、マルウェア感染のリスクを高める可能性があるためです。
また、添付ファイルでも正常なドキュメントを装ったマルウェアの可能性があるため注意が必要です。PDFやWord文書など、一般的なファイル形式であっても注意してください。不審なメールの内容を確認する必要がある場合は、セキュリティ担当者や専門家に相談することが望ましいでしょう。
個人情報を入力しない
スパムメールのなかには、巧妙な手口で個人情報の入力を誘導して、金銭を騙し取ろうとするものがあります。これらは、有名企業を装って信頼性を高めようとしてきます。たとえば、「アカウントの確認が必要」「セキュリティ上の問題が発生」といった緊急性を煽る文面で、個人情報の入力を求められることがあります。
たとえ本物の企業からのメールに見えても、身に覚えのない要求には応じないことが重要です。本物のメールなのか判断がつかない場合は、公式サイトや公表されている連絡先を通じて直接問い合わせるのが確実です。このような慎重な対応が、個人情報の流出を防ぐポイントとなります。
スパムメールのファイルを開いてしまった・情報を入力してしまったら?
もし、スパムメールを開封してしまったとしても、開封しただけでは大きな被害につながりにくいため、すぐに削除するなどの対応を取れば問題ありません。
しかし、スパムメールのファイルを誤って開いてしまったり、個人情報を入力してしまったりした場合は、迅速な対応が必要です。まずは、マルウェアの拡散や情報流出を防止するため、デバイスをネットワークから切断しましょう。
次に、信頼できるウイルス対策アプリやソフトを使用して、徹底的なスキャンを行います。これにより、潜在的な脅威を特定し、ウイルスを除去できる可能性があります。
もし、クレジットカード情報などの重要な個人情報を入力してしまった場合は、直ちにクレジットカード会社に連絡して、不正利用の監視や利用停止を依頼しましょう。同様に、入力してしまったパスワードがあれば、速やかに変更する必要があります。こうした迅速かつ適切な対応により、被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。
スパムメールによる被害を防ぐための対策
スパムメールによる被害を防ぐためには、日常的に対策を講じることも大切です。ここで紹介する、具体的な対策方法を参考にしてください。
メールフィルタリングを活用する
スパムメール対策として、まずメールフィルタリングを活用しましょう。メールフィルタリングは、スパムメールを自動で判定し、専用のフォルダに振りわけてくれる機能です。
スマホ向けのサービスであるドコモの「あんしんセキュリティ」には、「迷惑メール対策」機能があります。この機能を使えば、スパムメールを自動的に別フォルダに振りわけてくれたり、電話帳に登録のあるメールアドレスからの受信のみに設定したりすることが可能です。
メールフィルタリングを活用することで、手動でのメール管理の負担を軽減しつつ、より安全なメール環境を構築することができます。
メールアドレスを変更する
さまざまな対策をしてもスパムメールが減らない場合は、メールアドレスの変更を検討するのも一つの選択肢です。使用しているメールアドレスがスパムメールの送信者に有効と知らされれば、継続的に迷惑メールが届いてしまうからです。
新しいアドレスを作成する際は、大文字・小文字・数字・記号などを組み合わせた複雑なものにすることをおすすめします。これにより、アドレスの推測や自動生成による攻撃を受けにくくなります。
ただし、アドレス変更に伴う手続きや連絡先への周知など、一定の労力が必要となります。実行する際は、重要な連絡先リストを作成して計画的に移行することが重要です。また、新しいアドレスを使用する際も、不用意な公開は避けるよう心がけましょう。
メールソフトの迷惑メール対策機能を設定する
多くのメールソフトには、迷惑メール対策機能が備わっています。これらの機能を活用することで、スパムメールの受信を効果的に抑制できます。特定のドメインやアドレスからのメールを拒否する設定や、キーワードによるフィルタリングなどが可能です。
PCユーザーの場合、インターネットサービスプロバイダ(ISP)が提供する受信制限機能も併せて設定することをおすすめします。これにより、サーバーレベルでのスパムメール対策が行えます。ただし、正常なメールまで拒否してしまう可能性もあるため、設定後は受信状況を注意深く確認して、必要に応じて調整することが重要です。また、定期的に設定を見直して、新たな脅威に対応することも忘れずに行いましょう。
まとめ
スパムメールは、個人情報の窃取やウイルス感染など、深刻な被害をもたらす可能性があります。不審なメールは開かずに削除して、リンクやファイルにはアクセスしないよう注意しましょう。
また、メールソフトの迷惑メール対策機能を活用したり、セキュリティアプリを導入したりすることで、より安全なメール環境を構築できます。
もしスパムメールのファイルを開いてしまった場合は、即座にネットワークを遮断して、ウイルススキャンを行うことがおすすめです。日頃から警戒心を持ち、個人情報の取扱いに注意することで、スパムメールによる被害を最小限に抑えられるでしょう。