スマホにセキュリティソフトは必要?活用するメリットやすぐできる対策法を解説
スマホの利用が日常化しているなかで、スマホ関連のサイバー攻撃やフィッシング詐欺の件数が増加しており、セキュリティについて不安を感じる方も多いのではないでしょうか。スマホのセキュリティ対策はますます重要になっています。
そこでこの記事では、スマホのセキュリティソフトやアプリの必要性や、活用する利点について解説します。また、OSやアプリのアップデート、パスワード管理など、すぐにできるセキュリティ対策についても紹介するため、スマホのセキュリティ強化を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
スマホに搭載されているセキュリティ機能
スマホには、OSごとに独自のセキュリティ機能が搭載されています。AndroidとiOSそれぞれの主な機能を見ていきましょう。これらの機能を理解することで、セキュリティ対策の基本を把握できます。
Androidの場合の機能
Androidスマホには、Google Play プロテクトという重要なセキュリティ機能が搭載されており、Googleのサービスが導入されているAndroid端末でユーザーを保護する役割を果たしています。
Google Play プロテクトの主な役割は、アプリのセキュリティチェックです。Google Playストアからアプリをダウンロードする際にスキャンを自動的に行い、すでに端末にインストールされているアプリも定期的にチェックします。
この機能により、不正なアプリや危険な挙動をするアプリを事前に検出し、ユーザーに警告します。そのため、知らないうちにマルウェア(悪意のあるソフトウェア)に感染するリスクを低減可能です。
iOSの場合の機能
iOSは、Apple社が開発・提供するスマホ向けOSです。iOSは定期的にアップデートされ、セキュリティの脆弱性に対して迅速に対応できる仕組みが構築されています。
iPhone向けの公式アプリストアであるApp Storeでは、アプリを公開する前に厳格な審査が行われることが特徴です。そのため、App Storeで公開されているアプリは一定のセキュリティ基準をクリアしています。この仕組みにより、ユーザーはアプリを安全にダウンロードできます。
さらに、iPhoneにインストールされるアプリには「サンドボックス」という技術が採用されており、各アプリを独立した環境で動作させることが可能です。仮に1つのアプリに問題が生じても、他のアプリやOSへの影響を最小限に抑えられ、スマホ全体のセキュリティ向上に寄与しています。
スマホにセキュリティソフトは必要?
スマホの普及に伴って、スマホをターゲットとしたサイバー攻撃や詐欺事例が増え、セキュリティリスクも高まっています。ここでは増加するサイバー攻撃やフィッシング詐欺の現状と、具体的なセキュリティトラブルについて解説します。
サイバー攻撃やフィッシング詐欺件数は増加している
出典:● フィッシング対策協議会「フィッシングレポート 2024」
https://www.antiphishing.jp/report/phishing_report_2024.pdf
個人を狙ったサイバー攻撃やフィッシング詐欺は、年々増加傾向にあります。特にフィッシング詐欺による被害が深刻化しており、クレジットカードの不正利用額やインターネットバンキングの不正送金額が増加傾向にあります。
また、警察庁の『令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』によると、2023年上半期のフィッシング報告件数は前年同期比で17.9%増加しています。その多くはクレジットカード事業者などを装ったものでした。これらの手口は巧妙化しており、一般のユーザーが見分けるのは難しくなっています。
このような状況から、スマホユーザーには詐欺に対する警戒心が常に求められます。セキュリティ対策を怠ると個人情報の流出や金銭的被害のリスクが高まるため、スマホを安全に利用するためにも個々の危機管理が欠かせません。
主なセキュリティトラブル
スマホを使用するにあたって、いくつか注意すべきセキュリティトラブルがあります。一つずつ見ていきましょう。
不正アプリからのウイルス感染
公式のアプリストアで配布されているアプリは、一般的には安全だと考えられています。しかし、なかには悪意のあるプログラム(マルウェア)が含まれているアプリも存在します。
セキュリティソフトやアプリがインストールされていれば、こうした不正なアプリを検知できるでしょう。しかし、セキュリティ対策を行っていない場合、気づかずに危険なアプリをインストールしてしまうリスクがあります。
不正なアプリにはウイルスが含まれているケースも多く、一度インストールしてしまうとスマホがウイルスに感染する可能性が高いです。ウイルスに感染した場合、個人情報の流出や端末の不具合など、さまざまな問題が発生するおそれがあります。
ウイルス感染による個人情報の流出
スマホがウイルスに感染した場合、端末内の個人情報が流出するリスクが高まります。スマホには多くの個人情報が保存されており、これらの情報が流出することは深刻な問題です。
たとえば、電話番号や氏名、メールアドレスといった基本的な情報だけでなく、クレジットカード番号などの決済情報も盗まれる可能性があります。これらの情報が悪意のある第三者の手にわたると、なりすまし犯罪や金銭的被害につながるリスクも考えられます。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、実在する企業や機関からの正当なメールを装って、ユーザーを偽サイトに誘導し、個人情報を盗み取る手口を指します。この手口は年々巧妙化しており、見分けるのが難しくなってきています。
さらに、フィッシング詐欺の目的は個人情報の窃取だけでなく、直接的な金銭被害を狙うものも増加しています。たとえば、偽サイトでの商品購入や架空の料金支払いを要求する手口が一般的です。
こうした詐欺に遭わないためには、メールやサイトの真偽を慎重に確認することが重要です。しかし、個人の注意だけでは限界があるため、セキュリティソフトやアプリの活用をおすすめします。
セキュリティソフトの必要性が高まっている
上記のようなリスクから身を守るために、スマホにもPCと同様にセキュリティソフトやアプリを導入することが重要になっています。
近年のサイバー攻撃は巧妙化しており、一般ユーザーが目視だけで判断するのは困難です。特に公式を装った詐欺メールやサイトは本物そっくりに作成されているので、専門知識がないと見分けるのが難しいでしょう。
また、前述のような偽のメールに加えて、スマホ画面に突然表示される偽の警告メッセージなども増えています。これらは一見正当な警告に見えるため、多くのユーザーが誤解しやすいです。
上記のように、ユーザーの目視やスマホの基本的なセキュリティ機能だけでは対処しきれないリスクも増加しています。そのため、より包括的に保護するためにも追加のセキュリティ対策が必要不可欠です。
ドコモの「あんしんセキュリティ」は、スマホを多角的に保護するための総合的なセキュリティアプリです。たとえば、スマホ本体やアプリ、外部メモリに潜むリスクを検知し、ユーザーに通知することで、迅速な対処を可能にします。
さらに、インターネットの利用時や外出先でのWi-Fi接続など、さまざまな場面でのセキュリティリスクにも対応しています。これにより、ユーザーは日常的にあんしんしてスマホを利用することができます。
リスク対策としてこのようなサービスも活用し、スマホのセキュリティを高めていくことが大切です。
あんしんセキュリティについて
スマホのセキュリティソフトを活用するメリット
スマホのセキュリティソフトやアプリを導入することで、リアルタイムでの監視やウイルス感染リスクの低減など、さまざまなメリットが得られます。
ここからはそれぞれのメリットについて詳しく解説します。
リアルタイムで監視・防止できる
セキュリティソフトの大きなメリットの一つは、スマホをリアルタイムで監視し、さまざまな脅威から保護できる点です。ウイルスやフィッシング攻撃などの危険を即座に検出し、スマホの安全性を確保します。
監視機能により、個人情報やプライバシーに関わるデータの漏洩リスクを低減できるため、ユーザーはあんしんしてスマホを利用することが可能です。
また、セキュリティソフトは端末に備わっているセキュリティ機能を強化する役割も果たします。OSの脆弱性をカバーしたり、より高度な暗号化技術を提供したりすることで、全体的なセキュリティレベルを引き上げます。
こうしたリアルタイムの保護により、ユーザーは日常的なスマホ利用におけるセキュリティの不安を軽減できるのです。
フィッシング詐欺や不正アプリのインストールを抑止する
セキュリティソフトのもう一つの重要な機能は、フィッシング詐欺や不正アプリからユーザーを守ることです。これらの脅威は年々巧妙化しており、個人で見分けるのが困難になっています。
多くのセキュリティソフトには、フィッシングメールなどの迷惑メールをフィルタリングする機能が搭載されています。また、アプリをダウンロードした際にウイルスや不審なプログラムがないか確認し、検知した場合に知らせてくれる機能なども備わっています。
さらに、危険なWebサイトへのアクセスを防ぎ、インストールされたアプリが個人情報を不正に外部へ送信していないか監視する機能が搭載されていることもあります。
このように、セキュリティソフトは脅威を検知するだけでなく、ユーザーが気づかないうちに行ってしまう危険な行動のリスクを低減する役割も果たしています。
セキュリティソフトの活用以外に対策できること
セキュリティソフトやアプリは、ウイルスという脅威から守る重要な防御手段です。しかし、セキュリティソフトに頼り切りになるだけでなく、ユーザー自身も日常的な対策を行うことが重要です。
ここでは、日常的に実践できるセキュリティ対策をいくつか紹介します。
OSやアプリは最新版にアップデートする
スマホのOSはセキュリティの脆弱性や不具合が発見されると、それらを修正するためにアップデートが配信されます。このアップデートを適用せず、古いバージョンのまま使用していると、既知の脆弱性を狙ったウイルスに感染するリスクが高まります。
また、OSだけでなくインストールしているアプリも同様です。アプリの開発者はセキュリティ上の問題を発見次第、修正パッチをリリースします。そのため、使用しているアプリも常に最新版に保つことが重要です。
アップデートを怠ると、悪意のある第三者に脆弱性を突かれ、個人情報の流出やデバイスの不正利用などの被害に遭う可能性があります。多くのスマホでは自動アップデート機能が搭載されていますが、定期的に手動でアップデート状況を確認し、適用することも大切です。
定期的にパスワードを変更する
スマホのパスワードが第三者に漏洩した場合、個人情報の流出や金銭的被害といった深刻な問題を引き起こす可能性があります。そのため、スマホや各種アカウントのパスワードを定期的に変更することが効果的です。特に、スマホへの不正アクセスの兆候が見られた場合や、大規模な情報漏洩事件があった場合は早急な変更が求められます。
パスワードを新しく設定する際は、推測されにくい複雑なものを選びましょう。理想的なのは、大文字、小文字、数字、記号を組み合わせた長めのパスワードです。また、異なるサービスで同じパスワードを使い回さないようにすることも、セキュリティ強化における重要なポイントといえます。
SNSのアカウントは二段階認証を活用する
SNSアカウントへの不正アクセスや乗っ取りも、深刻なリスクにつながるおそれがあります。個人情報の流出だけでなく、知人や友人への二次被害につながることもあるため、特に注意が必要です。
こうしたリスクを軽減するために、二段階認証の利用が推奨されています。これは通常のIDとパスワードに加えて、追加の認証手段を設定することでセキュリティを強化する仕組みです。ログイン時に電話番号へ送信されるコードの入力や、生体認証(指紋認証や顔認証)などが一般的に利用されます。
二段階認証を設定することで、たとえパスワードが漏洩しても、第三者による不正ログインを防ぐことが可能です。現在、多くのSNSでこのセキュリティ機能が提供されているため、積極的に活用しましょう。
アプリをインストールする際は公式アプリストアを活用する
スマホにアプリをインストールする際は、公式のアプリストア(AndroidならGoogle Play、iOSならApp Store)を利用することが重要です。これらの公式アプリストアでは、公開されるアプリが事前に安全性をチェックされているため、ウイルス感染のリスクを低減できます。
一方、信頼性の低いサイトやメールの添付ファイルからアプリをインストールすることは、ウイルス感染のリスクが大幅に高まるので推奨できません。特に、メールに添付された不審なファイルにはウイルスが仕込まれているケースが多いため、心当たりがない場合は決して開かないよう注意が必要です。
不正なサイトやURLにアクセスしない
不審なサイトやメッセージで送られてきた怪しいURLへのアクセスは、ウイルス感染の主要な経路の一つです。これらのサイトやURLにはマルウェアが仕込まれている可能性が高いため、アクセスしないよう注意しましょう。
特に警戒すべきは、緊急性や不安を煽るようなメッセージです。「アカウントが停止されます」「セキュリティ上の問題が見つかりました」などの文言で、すぐにアクセスするよう促すものはフィッシング詐欺の可能性が高いです。
こうした不審なメッセージやURLを受け取った場合は、送信元の正当性を慎重に確認しましょう。不安な場合は、公式サイトやカスタマーサポートに直接問い合わせるとあんしんです。また、URLの確認を習慣付けて、少しでも怪しいと感じたらアクセスを控えることも重要な対策となります。
VPN接続を活用する
VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)は、インターネット上に仮想的な専用通信網を構築する技術です。VPNを利用することで通信内容が暗号化され、第三者による不正アクセスや盗聴を防止できます。
特に公共のフリーWi-Fiを利用する際には、VPNの利用が推奨されます。フリーWi-Fiは便利な反面、セキュリティが脆弱なケースが多く、悪意のある第三者に通信内容を傍受されるリスクが高いためです。
VPNを活用すれば、こうしたリスクを大幅に軽減できます。多くのVPNサービスはスマホ向けにも提供されているため、セキュリティを重視する方は積極的に利用を検討してみてください。ただし、利用する際は信頼できるVPNプロバイダを選ぶことが重要です。
定期的にバックアップをとっておく
スマホのデータを定期的にバックアップすることは、セキュリティ対策を行う上で非常に重要です。もしスマホがウイルスに感染し、さまざまな対策を施しても完全に除去できない場合、最終手段として端末の初期化が必要になることがあります。
初期化を行うとスマホ内のデータがすべて消去されますが、事前にバックアップを取っておくことで、初期化後も重要なデータを復元することが可能です。写真、連絡先、アプリのデータなど、日々の生活に欠かせない情報を守るためにも、定期的なバックアップは欠かせません。
多くのスマホでは、クラウドサービスを利用した自動バックアップ機能が提供されています。この機能を活用し、定期的にバックアップを行うことで、万が一の事態にも対応できるでしょう。また、重要なデータはクラウドやパソコンなど、複数の場所にバックアップをとっておくこともおすすめです。
まとめ
スマホのセキュリティ対策は、日常的に実施していくことが大切です。しかし、自身でできる対策には限界があるため、サイバー攻撃やフィッシング詐欺が増加している現代においては、セキュリティソフトやアプリの活用も重要になっています。これらのツールは、ウイルス対策やフィッシング詐欺の防止に役立つため、ぜひ導入を検討してみてください。
もちろん、OSやアプリの更新、定期的なパスワード変更、二段階認証の設定といったユーザー自身で行える対策も多く存在します。また、公式アプリストアの利用や不審なURLへのアクセス回避、VPNの活用、定期的なデータのバックアップなど、日常的な対策を意識することも大切です。
これらの対策を組み合わせることで、スマホのセキュリティをより一層強化できます。スマホを安全に使用し続けるためにも、常に最新のセキュリティ情報に注意を払い、適切な対策を継続的に実施していきましょう。