Wi-Fiからスマホにウイルスが感染する原因とは?ウイルスから守る対策も解説
Wi-Fiを利用したことがきっかけで自分のスマホにウイルスが感染してしまった場合、さまざまな問題が起こる危険性があります。そうした事態を避けるには、Wi-Fiの利用に際して適切な対策が必要です。
この記事では、Wi-Fiからスマホにウイルスが感染する原因と想定される被害、さらにスマホ側とWi-Fi側でどのような対策を講じるべきかを詳しく解説いたします。スマホを日常的に使う人は、ぜひ参考にしてください。
目次
Wi-Fiからスマホにウイルスが感染する原因とは?
Wi-Fiを介してスマホがウイルスに感染する原因は主に二つあります。これらの要因を理解することで、より安全なWi-Fi利用が可能になるでしょう。
以下に、主な二つの感染経路について詳しく説明します。
通信が暗号化されていないフリーWi-Fiへの接続
公共施設や店舗などに設置されているフリーWi-Fiは、通信が暗号化されていないケースが多いため悪意のある第三者が悪用する場合があります。たとえば、悪意のある第三者が偽装Wi-Fiを設置し、誤って接続したユーザーが悪意のあるWebサイトでファイルやアプリをダウンロードしたことでウイルス感染してしまう、といった感染経路があります。
暗号化されていないフリーWi-Fiでは、ユーザーの個人情報やログイン情報、クレジットカード情報などが盗み見られる危険性もあります。攻撃者にそれらの情報を悪用されれば、深刻な被害につながる可能性も考えられます。
ウイルス感染しているWi-Fiルーターへの接続
Wi-Fiのルーター自体がウイルスに感染している場合、接続したスマホにも感染が広がる可能性があります。Wi-Fiのルーターにはパスワードが設定されていますが、デフォルトのままで変更されていないと悪意のある第三者にハッキングされる危険性があり、接続しているスマホにも影響がおよびます。
Wi-Fi経由でスマホがウイルスに感染したときの症状
Wi-Fi接続によってウイルスに感染した場合、スマホの動作にさまざまな影響を及ぼします。以下のような症状がある場合、ウイルスの感染を疑いましょう。
スマホの動作が遅くなる
スマホがウイルスに感染した場合、ウイルスがバックグラウンドで常に動作しているため、スマホの処理速度が低下します。メモリやCPUがウイルスに占有されることで、アプリの起動やデータの読み書きなどの処理が遅くなり、スムーズな操作ができなくなるでしょう。
たとえば、メールの送受信や写真の保存、Webページの表示などの基本的な操作が遅くなったり、動画の再生が頻繁に途切れたりするなどの症状が見られることがあります。
ただし、動作が遅くなる症状だけではウイルスが原因と断定することは難しいため、ほかの症状などと併せて総合的に判断することをおすすめします。
知らない発信・送信履歴がある
電話やメールなどの不審な発信・送信履歴が残っていることがあります。これは、ウイルス感染した可能性が高い場合に現れる症状の一つで、感染したウイルスが勝手に通信を行い、メールやDMなどを送信しているケースがあります。
このような不審な通信履歴は、個人情報の漏洩や金銭的な被害につながる危険性があるため、早期発見と適切な対策が重要となります。
不審なポップアップが頻繁に表示される
スマホ画面に「ウイルスに感染しています」といった不審なポップアップが頻繁に表示されることがあります。1日に何度も表示され、スマホの操作に支障をきたすなどの状態であればウイルス感染を疑いましょう。
Wi-Fi経由でスマホがウイルスに感染した場合どうなる?
Wi-Fi経由でスマホがウイルスに感染した場合、深刻な被害が発生する可能性があります。
以下に、ウイルス感染による被害について詳しく解説します。前述のウイルス感染の症状と併せて認識しておきましょう。
個人情報を盗まれる
スマホがウイルス感染した場合、端末に保存されている個人情報を盗み取られる危険性が高まります。たとえば、住所や電話番号、クレジットカード情報などの重要なデータが悪用される可能性があるでしょう。これらの情報が外部に流出すれば、なりすまし詐欺や不正利用などの被害につながりかねません。
さらに、連絡先に登録していた写真などのデータも盗み取られ、プライバシーが侵害されるおそれがあります。
遠隔操作をされる
スマホのカメラや音声機能を遠隔操作され、盗撮や盗聴が行われる可能性があります。ユーザーが気づかないうちに、カメラで写真や動画を撮影されたり、マイク機能から会話を盗み聞かれたりするリスクがあります。
カメラやマイクを遠隔操作されると、ストーカー行為などの犯罪に悪用されるおそれもあります。プライバシーの侵害だけではなく、ユーザーの身の安全が担保できなくなるなど深刻な問題につながるリスクがあります。
金銭被害が発生する
スマホにクレジットカード情報を登録している場合、ウイルスにより情報を盗み取られると金銭的な被害が発生する可能性があります。
たとえば、ウイルスに感染した端末からクレジットカード情報が盗み取られ、高額な取引が行われるケースが多く見られます。不正利用に気づくのが遅れると、被害額が増幅するなどのリスクも考えられます。
ウイルス感染によるクレジットカード情報の漏洩は、ユーザーの財産を脅かす重大な問題であり、早期発見と徹底した対策が求められます。
Wi-Fi経由でウイルス感染しないための対策
Wi-Fi経由のウイルス感染を防ぐためには、スマホとWi-Fi機器の両方で対策を講じることが重要です。以下に、それぞれの観点から実践できる効果的な対策を紹介します。
スマホ側の対策
まず、スマホ側で実施できる対策として、以下の2点が挙げられます。これらの方法を組み合わせることで、スマホの安全性を強化できるでしょう。
セキュリティ対策サービスを活用する
危険なWi-Fiに接続してしまった際に通知してくれるセキュリティ対策サービスを活用すると、セキュリティが万全でないWi-Fiに接続してしまうリスクを大幅に低減できるでしょう。
サービスの一例として、ドコモが提供する「あんしんセキュリティ」の「危険Wi-Fi対策」機能があります。この機能は、通信内容の改ざんや盗み見をされる可能性がある危険なWi-Fiを検知し、警告を表示することで接続を防いでくれます。巧妙に偽装されたWi-Fiに誤って接続してしまうリスクも減らせるため、安全にWi-Fiを利用できます。
Wi-Fiの自動接続をOFFにする
公共施設や飲食店のフリーWi-Fiに自動的に接続されないよう、スマホの設定から自動接続をOFFにしておくことも、ウイルス感染を防ぐ上で重要な対策です。フリーWi-Fiは必ずしもセキュリティが確保されているわけではないため、安易に接続してしまうと、ウイルス感染のリスクが高まります。
Wi-Fiの自動接続をOFFにすると手動での接続が可能になるため、安全性を確認した上でフリーWi-Fiを利用することができます。通信が暗号化されており、信頼できる事業者が提供するフリーWi-Fiであれば接続し、少しでも不審な点がある場合は使用を避けるといった対応ができるでしょう。
Wi-Fi側の対策
次に、Wi-Fi機器側で実施できる対策を3つ紹介します。Wi-Fiルーターの設定を適切に行い、セキュリティを強化することで、Wi-Fiルーターのウイルス感染のリスクを低減できるでしょう。
以下では、Wi-Fi側で講じるべき具体的な対策について解説します。
SSDIの名称・設定を変える
SSDIとは、Wi-Fiのネットワークに割り振られている名称のことです。SSDIをデフォルトの状態のままにしていたり、推測されやすい名称にしたりすると、悪意のある第三者に特定され、ウイルス感染につながるリスクがあります。そのため、自身の名前や電話番号をSSDIの名称に設定している場合は、変更することをおすすめします。
SSDIの変更方法は、ルーターのメーカーや機種によって異なりますが、ルーター設定画面から変更するケースが一般的です。SSDIの名称を一般的な言葉や数字の組み合わせなど、個人を特定できない内容にするとよいでしょう。
パスワードを初期設定から変える
Wi-Fiのパスワードも、初期設定のままのものを使い続けるとウイルス感染につながるリスクが高まります。ルーターのメーカー名やモデル番号といった情報からパスワードを推測され、不正に接続され、ウイルス感染につながるおそれがあるでしょう。また、Wi-Fiの設定を書き換えられたり、ネットワークの利用情報が盗み取られたりするなど、深刻な被害に遭う可能性があります。
従って、Wi-Fiのパスワードを定期的に更新し、英字の大文字・小文字・数字などを組み合わせて類推されにくいパスワードにすることが重要です。
具体的な変更方法パスワードの変更方法はメーカーやルーターによって異なりますが、一般的には「Wi-Fiルーターにログイン→設定画面→SSIDのパスワードを変更する項目→パスワードの変更」といった流れで行います。
最新のセキュリティ技術があるWi-Fiに変える
Wi-Fiの通信内容を不正に受信されないためには、通信を確実に暗号化するセキュリティ機能が重要です。Wi-Fiの暗号化方式にはさまざまな種類がありますが、WPA3やWPA2などの強固なセキュリティ機能を備えたものが望ましいでしょう。
WPAとはネットワークのセキュリティを強化するための技術の名称で、数字が大きくなるほど高度なセキュリティ技術が採用されています。一般的な暗号化方式であるWPA2に比べて、WPA3はさらに強力な暗号化アルゴリズムを使用しており、悪意のある第三者による盗聴や不正アクセスに対して高度な防御が可能です。ルーターを長年使用している場合は、最新のWi-Fi規格に対応したルーターに変更することをおすすめします。
ファームウェアを最新版にする
Wi-Fiルーターのセキュリティ対策を強化するためには、ファームウェアを常に最新の状態に保つことも欠かせません。ファームウェアとは、Wi-Fiルーターを制御するためのソフトウェアのことです。メーカーが提供する最新のファームウェアにアップデートすることで、さまざまな問題が改善されます。
また、ルーター自体の動作安定性の向上や、新しい機能の追加など、ファームウェアの更新によりさまざまな改善が期待できます。Wi-Fiルーターを長期にわたって安全に使い続けるためには、メーカーが提供する最新のファームウェアに定期的に更新することが不可欠です。
フリーWi-Fiを利用するときの注意点
以下では、フリーWi-Fiを安全に活用するための注意点について解説します。
暗号化されたWi-Fiのみ使用する
フリーのWi-Fiを利用する際は、ネットワークの名称の横にカギのマークが表示されている暗号化されたWi-Fiを選ぶよう意識してみてください。
暗号化されたWi-Fiであれば通信の秘匿性が一定レベルで確保されるため、個人情報を安全に送信できます。フリーWi-Fiに安易に接続することはせず、暗号化の有無を都度確認し、暗号化されたWi-Fiを選ぶようにしましょう。
不明な提供元のWi-Fiは接続しない
提供元が明確でないフリーのWi-Fiは、接続を避けるようにしましょう。施設などが提供しているWi-Fiに接続したつもりが、実際は悪意のある第三者が用意した危険なWi-Fiだった、というケースもあります。施設の名称と類似しているネットワーク名が複数設定されている場合などは、正しいWi-Fi名を十分確認した上で接続してください。
VPN接続を活用する
フリーのWi-Fiを安全に利用するための手段として、VPN(Virtual PrivateNetwork)接続を活用することがおすすめです。VPNとは、仮想の専用回線を用いて通信の安全性を強化する技術のことです。VPNを利用することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に低減できるでしょう。
近年では、AndroidスマートフォンのGoogle Pixel 7以降モデルに搭載されているGoogle VPNなど、最適化されたVPNも登場しています。フリーのWi-Fiをよく利用する人は、必要に応じて導入を検討してください。
まとめ
Wi-Fiを介してスマホがウイルスに感染すると、深刻な被害につながる可能性があります。ウイルス感染によって個人情報の盗難や端末の遠隔操作だけでなく、金銭的な被害などに遭うリスクも含みます。
Wi-Fiを介してのウイルス感染を防ぐ対策として、セキュリティ対策サービスの活用やWi-Fiの設定変更などが挙げられます。ほかにも、暗号化されたWi-Fiの利用、提供元が不明なWi-Fiへの接続を避ける、VPNの活用など、適切な対策を講じることで安全にWi-Fiを利用できるでしょう。