オレオレ詐欺がバージョンアップ! 登場人物が増えた「劇場型」に注意
30秒でわかる記事まとめ
- オレオレ詐欺、母さん助けて詐欺と呼ばれる電話が、横行しています。あえて名乗らずに、電話を受けた人の身内と勘違いさせ、「会社のお金をなくした。補てんしないとクビになる」「事故を起こした。相手が示談金を要求している」など、いかにも慌ててしまいそうな状況を作り、お金を振り込ませるのが、その手口。そして最近は手の込んだ「演出」を加える事例も増えています。
「オレ」ではなく「名前を名乗る同僚」からの電話
ある日のこと、Aさんのスマートフォンに一本の電話が入りました。
「私、息子さんの勤めているB社のC山という者です。じつは息子さんが取引先に明日までに入金しなければいけないお金を紛失してしまいまして……」
見知らぬ電話番号からの「会社のお金をなくした」という内容は、ニュースで見たオレオレ詐欺の手口そのもの。しかし息子が勤めているのは確かにB社です。Aさんは話を聞いてみることに。
「金額は280万円です。息子さんと私で、220万円は用意できました。でも60万円、どうしても足りないんです。会社に知られるとクビになる可能性が高いので、警察にも届けられず……」
Aさんは、『60万円で息子がクビにならずに済むなら』と思い、「わかりました。60万円は用意します。それで、どのようにお支払いをすれば?」
「すみません。では1時間後の16時に伺います。念のため息子さんにも代わりますね」
「もしもし、オレだけど。こんなことになっちゃってごめん」
「いいのよ。そのくらい、お母さんがなんとかするわ」
電話を切ったAさんは、急いで銀行へ向かい60万円を下ろします。そして時刻ちょうどにC山さんがやってきました。スーツを来てメガネをかけており、いかにも仕事ができそうな人です。C山は「本当に助かりました。あいつもこれでクビにならずに済みます」と言って現金を受け取り去っていきました……。
※以上はフィクションです。
「オレ」以外の人物が登場するとだまされやすい―まずは本人への確認&国民生活センターに相談を
いわゆるオレオレ詐欺のなかでも、近年主流になりつつあるのは、Aさんが被害に遭ったような「劇場型」と呼ばれる手法です。特徴は氏名・家族構成を把握しているほか、登場人物が一人ではない、複数回にわたってかかってくるなど、練られたストーリーで詐欺を働く点。また、振込ではなく、対面で現金を受け取るケースも見受けられます。
Aさんの場合、予備知識はあったものの、短時間で用意できる金額だった上、息子の会社名が合っていたこと、そしてC山と名乗る男の信頼できそうな話し振りにすっかりだまされてしまいました
国民生活センターの相談窓口には、“警察署員を名乗る者から、「個人情報の流出に伴い被害が発生している。ついては消費生活センターから預貯金確認の電話があるので情報を伝えるように」との電話があった直後、消費生活センターを名乗る別人から電話がかかってきて銀行情報を聞かれた”など、手の込んだ手口が報告されています。
一昔前のような、氏名がわからないので「オレオレ」で済ませる単純な手法ではなく、事前に相手(=あなた)の個人情報をある程度まで把握した上で仕掛けてくるため、一層の注意が必要です。
現金や個人情報を要求する電話がかかってきたときは、まずその場で回答せず連絡先を聞きましょう。そして身内が関わっているとされた場合はまず、その本人への確認が最優先です。それが叶わない場合は、国民生活センターへ通報・相談しましょう。なお、公共機関や銀行が電話で暗証番号などを聞くことはありません。
さいごに
あんしんセキュリティの迷惑電話対策は、しつこいセールスなどの迷惑な電話や、詐欺・架空請求などの危険な電話と思われる番号からの着信を事前にお知らせすることで、被害を未然に防ぐことができます。
※この記事は、マカフィー×ASCII.jp「せきゅラボ」掲載記事を元に制作されました。